目立たない音楽アーティストたちの名演

脇を固めるプレイヤーは音楽アーティストの中でも優れたテクニックを持っていて、誰からも信頼される人気があります。ベースやドラムといった一見目立つことのないポジションを担当しているミュージシャンは淡々とした印象を受けますが、ミュージシャンの個性で曲は様々な角度で方向転換します。


ドラマーが変わるだけで曲の印象に違いが出るのは、ミュージシャン固有のリズム感や感覚が曲中でうまく作用しているといえます。ベーシストは時としてリードギターのようなプレイスタイルを持っている人もいますが、ベーシストの感覚としてのリズム感のよさは不可欠です。自己主張ばかりするプレイスタイルは楽器本来の演奏では評価されなくなり、極端に狭い範囲の中での活動を余儀なくされます。


特殊な奏法は斬新ですが、新鮮さがいつまでも保てるわけではありあません。円熟味を増す前に単なるマジックや曲芸のように種がばれてしまえば面白さはなくなります。それでも道を究めれば頭角を現すことは可能ですが、誰にも受け入れられる音楽を目指すことは非常に難しいことです。音楽アーティストは長い年月をかけて自分のスタイルを作り上げて完成していきます。


若ければ道のりも遠く時間もかかりますが、一瞬でゴールに到達する人も過去に何人かいました。みな若いうちにこの世を去っていますが、いまだに活動を続けているミュージシャンの中には何年もかけてその境地に到達する人もいます。成長した演奏スタイルはまた若さとは違った表現方法を身に着けていて、涙ぐむような感動を聴衆に与えることができます。かつて若かった人が年をとることは年月の経過を感じてしまいます。


プレイヤーもいつまでも若いわけではありあませんし、聴衆も年をとります。その交互作用がミュージシャンの成長と聴衆も理解力が深まり、お互いの感動をさらに押し広げているのです。脇を固めるリズム隊の多くは人知れずにたくさんの名曲の中で埋もれずに生き続けています。