音楽アーティストともに時は流れて時代は変わる
一般的にギターの弾き語りというとフォークソングを連想しがちですが、実際には戦前のブルースに端を発したものといえます。戦前の古いブルースから連綿と引き継がれていたスタイルは60年代に大きな変貌を遂げました。演奏スタイルはラウドなエレキギターの導入などで様変わりしたような印象を受けますが、実際には演奏する楽器が変わっただけでスタイルそのものに変化はありません。
フォークソングのルーツはブルースなどの演奏スタイルとは別に、もっと別の部分に音楽的なルーツを知ることができます。実際に音楽の歴史を知りたければ数人のブルースマンを聴くことと、重要な文学作品を読めばそれで十分だというようなことを著名な音楽アーティストが語っていたます。
音楽の歴史の中で言葉はほとんど必要あり暗線でしたが、日常生活の中での様々な敗北や家族や恋人への愛などを語りはじめると、少ない語彙では表現が不可能になってきました。60年代には多くの作家や詩人が注目され、文学とされながらも文壇よりは路上を好んだ作家たちはのちにビートとかパンクとか呼ばれるようになっていきます。
後のパンクロッカーたちと彼らが一線を画するのは、豊富な語彙と叫ばなかったことです。音楽アーティストの中にも怒りの表現を繰り返す人は多くいますが、それは決して暴力的でなく叫ぶことも怒鳴ることもありません。
理路整然とあらゆる状況を論破できる倫理の武装が彼らの武器であり鎧だったのです。現在とは違って当時の若者のほとんどは文学に興味を抱く人も多く、退廃的な詩人の言葉に幻想を抱いていました。逃避文学はそのまま当時のフォークソングに投影され、勝者もいなければ敗者もいないという当時の反戦的なムードの中に埋もれていきます。
時代性がぜい肉をそぎ落とした結果、多くのフォークシンガーは廃れていき。残ったシンガーも牙を抜かれて無害になったかのように考えられましたが、実は時代がやっと彼らに追いついただけなのです。
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